【シンクロ・水球】第16回世界水泳選手権 3日目
ロシア・カザンでの第16回世界水泳選手権の3日目。この日はシンクロ、飛込に続いて水球競技が初日を迎えました。
シンクロはデュエットテクニカルルーティン予選と決勝、フリーコンビネーション予選と昨日行われたミックスデュエットテクニカルルーティンの決勝が行われます。
デュエットは38カ国が参加し、32番目の登場となった日本の乾友紀子選手・三井梨紗子選手ペア。高さ、回転などすべての演技で高い同調性を発揮し、会場からも大きな拍手がわき起こります。井村雅代ヘッドコーチも「シンクロナイゼーションが良かった。エレメンツでのミスもあったけど、よく泳いでくれたと思います」と高評価の演技は、ライバルのウクライナに0.0908ポイント上回る90.3504を獲得。メダル圏内の3位で決勝に進みました。
フリーコンビネーションを挟んでの決勝。「油断しないで最後の最後まで勝負して、勝ちにこだわりたいと思います」。乾選手が話していたとおり、気合いの乗った演技で最初のリフトから丁寧に、そしてダイナミックにエレメンツをこなしていきます。最後、演技を終えたあとは乾、三井両選手に安堵の表情が浮かぶと同時に、観客席にいたチームメイトは祈るように両手を合わせていました。
結果は、92.0079。日本の直前に演技を終えていた3位を争うウクライナは91.6770。僅差ながら1位のロシア、2位の中国に続いて、世界大会では2008年以来、世界水泳選手権では4大会ぶりとなる銅メダルを獲得しました。
「おめでとう、ここまで頑張ってきて良かったね、と声をかけました」。普段は厳しい指導で知られる井村ヘッドコーチも、このときばかりは感動で声を詰まらせました。
「やっと2人でメダルを手にできて、言葉になりません。胸いっぱいです」（乾選手）
「井村ヘッドコーチと乾さんを信じてきたからこそ、ここまで泳げたのだと思います。コーチに2人でメダルをかけたとき、ここまでこれてよかったと実感しました」（三井選手）
まだまだ競技は続く、と気を引き締めながらも、メダルの重さに感無量の表情を浮かべる2人は、メダル争いができ、それを制したことへの充実感が表情から伺えました。
2003年の世界水泳選手権から導入されたフリーコンビネーション。チーム、ソロ、デュエットなどが入れ替わりながら演技をするこの種目は、まるでひとつのショーのような種目です。今年の日本は「男女の深い情感」をテーマに演技を行いました。ショーとはいえ、日本チームが取り戻した同調性の高さをうまく表現した演技で最後まで観客を魅了し、92.6000の3位。4位のウクライナとの差は0.2000しかありませんが、こちらもメダル獲得の期待が高まりました。
「井村ヘッドコーチに言われた、水面に強く当たること、力強く演技することを心がけて泳ぎました」（箱山愛香選手）
「みんなで力を合わせて、ずっと練習してきたことを出すことを考えて演技をしました」（吉田胡桃選手）
予選5位という順位でテクニカルルーティンの決勝を迎えた、足立夢実選手・安部篤史選手ペアのミックスデュエット。予選の演技を見返し、きっちり修正すべきところを直して挑んだ決勝では、予選より0.4785ポイント上げて82.3509の5位となりました。
「疲労もありましたが、泳ぎ切れて少しホッとしました。ですがスパっと気持ちを切り替えてフリールーティンに挑みたい」（安部選手）
「一度でも予選と決勝を泳ぎ切ったことから、また違う気持ちでフリールーティンに挑むことができると思います」（足立選手）
女子水球はアメリカ、イタリア、ブラジルという強豪揃いのCリーグで予選リーグを戦います。初戦の相手、イタリアはアテネ五輪で金メダルを獲得し、過去の世界水泳選手権を制したことのある古豪。
第1ピリオドから先制を許して苦しい戦いになりましたが、第2クオーターに風間祐李選手が1点を返し、第3クオーターにはキャプテン森翼選手、坂上千明選手と立て続けに得点を奪います。しかし、イタリアは高いポジションからのシュートと、固いゾーンディフェンスで日本のスピード水球を封じ、3対15で黒星スタートとなりました。
「日本の良さを封じられてしまった。次戦のブラジル戦は負けられないので、持ち味のスピードを生かして自分たちのペースに持ち込んでいきたいと思います」（森選手）
「ディフェンスからの素早い攻撃へはうまくできていたが、パスワークやシュートといった最後のツメの部分が甘かった。12年ぶりの世界水泳選手権だが、とにかく次のブラジル戦は勝ちに行きます」（加藤英雄ヘッドコート）
4日目はシンクロソロのフリールーティン予選とチームテクニカルルーティンの決勝が、水球は男子が初戦を迎え、OWSの男子10kmにそれぞれ日本代表チームが出場します。
来年のリオデジャネイロ五輪を見据え、各国の強豪が出そろう水の祭典・世界水泳選手権で、連日レベルの高い勝負をし続ける代表選手たちへの熱い声援を引き続きよろしくお願いいたします！
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