スポーツ取材の現場にいれば、驚くほど大量の資料を手にする。取材案内やエントリーした選手の一覧、過去の競技記録に試合後には公式記録 ― 。
そんな中、環境保全の観点から日本水泳連盟は、日本選手権やジャパンオープンなどの主催大会で紙削減に取り組んでいる。
水泳では選手がタッチ板に触れると、すぐ電光掲示板に着順が表示される。これを公式ホームページにつなげるシステムを2004年につくった。レース終了後、10秒で公式記録が見られ、紙の代用としている。2008年からは携帯電話のサイトを開設。現場でパソコンを使えない選手、コーチもレースの詳細がわかる。個人記録の分類、タイムの変化もすぐまとめられる利点もある。
これで2004年以前からA4用紙にして年間約189万枚の使用を減らした。同時期に競技者登録、大会エントリーなども電算化。合わせて年間で約195万6,100枚の削減だ。日本水連によると、収穫時の植林木(高さ20メートル、直径20センチ)約150本分という。今後は各都道府県の連盟主催大会にもこのシステムを広げ、年間約2億2500万枚、植林木約1万7千本の削減を目指す。
一方で日本水連の佐野和夫会長は「パソコンは不安という人もいる。紙を完全になくすのも無理でしょう」とも言う。有名選手によるエコ啓発活動にも力をいれるが、これらの試みが環境に短期間で劇的変化まではもたらさないことも分かっている。
だからこそ選手、関係者にはこう語りかけている。「結果がすぐに出なくても、地道に努力を続けた者が勝つのがスポーツ。やれることから取り組んでいこう」。小さなことでもあきらめずに継続する。環境問題もスポーツも似ている。 |