「LGBTQ+とスポーツ〜スポーツ界のダイバーシティを考える」勉強会を開催
LGBTQなんて自分には関係ないと思っていませんか?
統計によると、日本人の10〜13人に一人がLGBTQ。そんなあなたの言動が、知らないうちに大切な人を傷つけているかもしれません。アスリート委員会が今年度3回目となる勉強会として、マイノリティに配慮した水泳環境づくりのために、「LGBTQ+とスポーツ〜スポーツ界のダイバーシティを考える」勉強会を開催しました。本勉強会は日本オリンピック委員会と包括連携協定を結んでいるプライドハウス東京の協力を得ながら、講師にはフェンシング元女子日本代表、日本フェンシング協会理事、日本オリンピック委員会理事で、ご自身もトランスジェンダーである杉山文野さんを講師に迎えました。勉強会には多くの日本水泳連盟関係者をはじめ、パラ競技や他競技、医療関係者など50名を超える、まさにダイバーシティな方々が参加されました。
杉山さんの講話では、「LGBTQ+とは?」の説明や、ご自身の経験をもとにLGBTQ+当事者が抱える悩み、スポーツ界における受け入れ環境、心理的安全性の確保などについて説明がありました。その中で、「自分の居場所を失いたくない気持ちから、家族や友人、チームメイトといった身近で大切な人に対して、悩みを打ち明けることが難しい」といった切実な実情が語られました。
質疑応答では、「生理的優位性を持つ選手の出場について」意見が求められ、杉山さんからは、「性別カテゴリーの変更については、男性から女性なのか、女性から男性なのかで随分考えが違う。また競技特性やレベルによっても考え方は異なることから、一括りで議論されることには違和感を感じるが、これらについて今後も正しいエビデンスに基づく議論がなされることこそが重要」との想いが語られました。また「トランスジェンダー選手の性別カテゴリーについては、既に公表されているワールドアクアティクス(旧国際水泳連盟)のオフィシャル・ルールの遵守を前提とすべきではないか」といった意見があり、アスリート委員会からは、そうしたルールを確認し、遵守を訴えつつ、一方で人の命にも関わる問題として、意識啓発に取り組みたいと発言があリました。勉強会に参加した他競技のオリンピック・メダリストからは、「東京2020ではジェンダーについて考える機会が身近にあり、今回の勉強会は参考になった。今後もよりフランクに議論ができる環境ができればいいと感じた」との声をいただきました。
参加者からの事後アンケートでは、 参加者からの事後のアンケートでは、「知ることの大切さ」「気づきの大切さ」を認識したとの声が多くあがりました。
「性差、パラスポーツと同じようにL G B T Q+の方々が違和感を感じることなく過ごせる時代が早く来てほしいなと思いました。」
「これまでずっと生きづらさを感じていた人達が、実は身近にも多くいたのではないかと改めて感じた。」
「個人的に理解しているつもりで終わるのではなく、もっと共有し勉強する機会を増やしたい。」
「組織全体が、L G B T Qについての知識をもって対応すべきと考えた。特に指導者は、直接選手と関わりをもち、信頼関係があっての存在であるため、指導者教育として、今後組織内でも勉強会を開催するなど対応していきたいと考える。」
といった前向きな意見が多かった一方で
「どのように取り組めば良いかよくわからない。」
「周りに該当者がいないので、どう対応したら良いかわからない」
といった意見もありました。
アスリート委員会としては、今後も関係者とともに「全ての人々が安心して水泳を楽しめる環境」を目指し、「まず知ることから」の啓発活動を重ねていきたいと考えています。