【月刊水泳1月号】競泳 ジュニア国際大会代表候補合宿報告
執筆・寄稿:中村 亮祐(東京SC)
本合宿は「2028年ロサンゼルス五輪以降を見据えて、インターナショナル強化指定につながる次世代選手の強化・育成及び次年度の国際大会候補選手としての動機づけ」を趣旨に行った。開催期間は2024年12月12日(木)~ 20日(金) 8泊9日で、三重県営鈴鹿スポーツガーデン水泳場とスポーツマンハウス鈴鹿をお借りして合宿を行った。多大なご協力をいただいた関係者の皆様にこの場を借りて感謝申し上げたい。
ランキングで選抜された選手42人(世界短水路/インターナショナル/ジュニアエリート除く)・コーチ13人・トレーナー2人・総務1人・学生スタッフ2人で合宿をスタートした。新たな試みとして学生スタッフが合宿に帯同した。若年齢の時にこのような合宿を経験したことが後の指導者・関係者の養成/育成に役立つように感じた。翌年度以降もぜひ継続した方が良いと思う。
合宿冒頭に倉澤利彰委員長代行から「近くを目指すなら1人で、遠くを目指すなら全員で」とのお言葉をいただいた。合宿期間を通してこの言葉通り少人数では乗り越えることが苦しい練習も皆でしっかり取り組むことができたと思う。練習はグループ練習8回、全体練習5回を行った。グループ練習では多くのスタッフに全体を見渡していただきたいと思い、クール毎に主任コーチを変更した。全体練習の回数も多く取り入れ「チーム全員で強化」の意識を植え付けたかった。合宿終盤では最終日前日夕方練習と最終日午前中に対抗戦を2日間連続で行った。
高い強度の練習を続けて行うことで予選からの力発揮に役立てばと思い企画した。選手たちは疲れもあったが力泳して合宿を終えてくれていたように思う。
本合宿では多くの講習を開催した。アンチ・ドーピング講習では禁止薬の確認を中心にお話いただいた。その後のメディカルチェックでは身体に故障を抱えている選手を診てもらった。現場のスタッフでは判断が難しい故障を抱えている選手もいたため、現場で診ていただいたことはとても有意義だと感じた。栄養講習では遠征地での栄養摂取のポイント、日常の身体作りに必要なことを中心にお話いただいた。その後の昼食もご一緒いただき選手に直接指導もしていただいた。科学の測定ではストローク長の映像を撮影し、平均の泳速度を上げるために必要なことを考えさせられるようなデータを提示していただいた。医事の測定ではどの部位を伸ばせば故障しづらく大成するかを掲示していただいた。メディア講習ではフラッシュインタビューの仕方を中心にSNSの正しい使い方をお話いただいた。水泳業界内での発信も大事だが、違う業界の方に正しく発信することが普及に繋がるとのお話をいただいた。
オリンピアン講話では大橋悠衣さんが東京五輪前からパリ五輪までの自身の成功の秘訣や葛藤、水泳を行っていることへの意義のお話をいただいた。金メダルを獲得したことのある選手の次の4年間の話をしていただいたのも大きかったように思う。
また現場のスタッフで講話も行った。パリ五輪輩出コーチ講話、世界ジュニア輩出コーチ講話、ジュニアパンパシ輩出コーチグループディスカッション、世界ジュニア優勝タイムから逆算した強化計画作成の計4回行った。グループディスカッションでは選手同士で遠征中の様々なことを共有してもらった。選手同士で質疑応答していくことが現場を良くするものに通じると感じた。貴重な話が多かったと思うので、すべての講話が次年度以降の代表活動での糧になればと思う。
最後に、この合宿を経験した選手が次年度以降、世界の舞台で羽ばたいてくれることを願い報告とさせていただく。
月刊水泳 vol.582 2025年1月号掲載