2015.08.04

【競泳・水球】第16回世界水泳選手権 12日目

競泳2日目までに世界記録が4つ、日本新記録が2つ誕生したロシア・カザンでの第16回世界水泳選手権。12日目には競泳の予選が4種目、準決勝が3種目、そして決勝が5種目行われ、日本男子水球の最終試合となるロシア戦が行われます。

昨日、200m個人メドレーで見事なレース運びを見せて銀メダルを獲得した渡部香生子選手は、女子100m平泳ぎの決勝に挑みます。前半は5レーンの世界記録保持者であるルタ・メイルチテ選手(リトアニア)と4レーンの地元ロシアのユリア・エフィモワ選手、そして3レーンのアリア・アトキンソン選手(ジャマイカ)が飛び出しますが、渡部選手は落ち着いていました。5位で50mをターンすると、そこから一気にスピードを上げて追い上げていきます。ラスト5mまでもつれ込んだメダル争い。渡部選手は、3位のアトキンソン選手に0秒01という僅差で破れて1分06秒43の4位となりました。
「今まで0秒01差で負けたり標準記録が切れなかったりすることはなかったので、良い経験だと今は思っています。ただ、ベストで泳いでいれば……というところもあってすごく悔しいんですが、後半はベストラップで泳げているので、200mにつなげられると思います。メダルを逃した悔しい気持ちは忘れず、でも切り替えて臨みます」(渡部選手)

男子100m背泳ぎの決勝に出場した、日本代表キャプテンの入江陵介選手。前半の50mから泳ぎのテンポは上がっていましたが、いつものように水に乗るような泳ぎではありません。少しちぐはぐな感じを残したまま50mを7位で折り返すと、持ち味であるはずの後半も思うように伸びず、53秒10の6位という結果でした。
「しっかり集中して臨んでいたので、ただただ悔しいですね。ちょっと前半力んでしまった部分もあったと思いますし、まだ泳ぎがうまくハマっていない感じがあります。ただ、200mでは大きなストロークで、自分らしい泳ぎをしていきたいと思います」(入江選手)

男子200mバタフライ準決勝には、午前中の予選を3位で通過した瀬戸大也選手と、7位通過の坂井聖人選手が登場。予選と同じく隣り合うコースでのレースでしたが、終始坂井選手が瀬戸選手をリード。調子が良さそうなラーズロー・シェー選手(ハンガリー)と並ぶかたちでレースを展開します。ラスト50mでシェー選手がスパートをかけますが、そこに瀬戸選手、坂井選手ともについていくことができません。しかし、坂井選手はラストに粘りを見せて瀬戸選手に先着。1分54秒75の自己ベストの全体3位で決勝に進出、瀬戸選手は1分54秒95の全体5位で決勝進出を決めました。
「準決勝はあまり良い泳ぎができませんでした。坂井選手にも負けてしまいましたが、一緒に決勝にコマを進められたので、2人で良いパフォーマンスをしてダブル表彰台を狙いたいと思います」(瀬戸選手)
「緊張して泳ぎが固くなっていたので、最初の前半が少し力んでしまったかなと感じています。そこをもう少しリラックスして泳いで、ラスト50mで周りの選手を追い上げていきたいと考えています」(坂井選手)

「自己ベストを出して決勝進出争いに絡みたい」と予選後に話していた五十嵐千尋選手は、女子200m準決勝に出場し、1分57秒75の自己ベストを更新。全体11位で決勝には進めませんでしたが「日本記録を更新できる自信につながるレースだった」と話し、4×200mリレーに向けて良い手応えをつかんでいました。

また、そのほかの競技は以下の通りです。
・男子50m平泳ぎ
小関也朱篤選手 28秒13 予選30位
・女子200m自由形
持田早智選手 1分59秒35 予選20位

日本男子水球の最終試合は、13、14位決定戦の地元ロシアとの対戦となりました。
第1クオーターでロシアに先制された日本でしたが、筈井翔太選手がボールを奪ってからのカウンターアタックで飯田純士選手がゴールを決めて同点にします。その後点を獲ったり獲られたりのシーソーゲームが続き、3対4のロシアリードで第1クオーターが終わります。第2クオーター早々に、日本得意のカウンターアタックが決まって同点に追いつくと、1点を返されたあとに2点奪い、6対5でリードした状態で前半が終了。
後半に入ると、一気に攻め込んだ日本。大川慶悟選手、荒井陸選手、志水祐介キャプテンに加えて、竹井昂司選手が2ゴール奪い、第3クオーターを追えて11対7。最終第4クオーターでも安定したディフェンスで、ロシアの攻撃を効果的に封じます。追加点を許しても、またすぐに奪い返すという超攻撃的な作戦が機能して試合終了。地元ロシアの声援が飛び交うアウェーのような雰囲気のなかでしたが、13対9で勝利しました。これで日本は、今大会13位が決定して全試合を終えました。歴史的な勝利に、大本洋嗣ヘッドコーチも興奮を隠し切れません。
「選手たちは最後まで集中力ありましたし、最高の戦いでした。予選リーグで非常に強いチームとやってきたことが力となり、最終戦でロシアに勝てたことは日本にとって非常に大きな成果です。ロシアは五輪のアジア予選でライバルとなるカザフスタンときわめて水球(プレー内容)が近く、さらにカザフスタンよりも強いチーム。そこで、試合が始まる前に『五輪の最終予選をアウェーで戦う気持ちで思い切っていけ』と言って送り出しました。ここでロシアに勝ったことで、自分たちがやってきたことの方向性が間違ってなかったという自信もつく。これから最終予選までの4カ月、厳しい合宿を組む予定ですが、最後まで集中力を保ったまま強化していけます。日本の水球は、五輪に30年行けていない。ですが、ここまで30年間、諸先輩たちがやってきたことの蓄積があって今の私たちがあるわけですから、ぜひ五輪出場を決めたいなと思います」(大本ヘッドコーチ)

13日目の午前中は、女子50m背泳ぎ、男子100m自由形、女子200mバタフライ、男子200m個人メドレーと、今大会初開催となる男女混合で行う、4×100mミックスメドレーリレーがあり、午後の決勝には、瀬戸選手と坂井選手が出場する男子200mバタフライが行われます。

来年のリオデジャネイロ五輪を見据え、各国の強豪が出そろう水の祭典・世界水泳選手権で、連日レベルの高い勝負をし続ける代表選手たちへの熱い声援を引き続きよろしくお願いいたします!

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