2015.07.28

【シンクロ・飛込・OWS・水球】第16回世界水泳選手権 5日目

ロシア・カザン第16回世界水泳選手権は5日目を迎え、会場も徐々に熱を帯びてきました。この日はシンクロのデュエットとミックスデュエット、チームのフリールーティンの3種目、飛込は3mシンクロ、OWSは女子10km、そして水球は女子の予選リーグ2戦目となるブラジル戦を迎えました。

デュエットのフリールーティンはJazzyをテーマに、リズミカルな足技を組み合わせた演技を乾友紀子選手・三井梨紗子選手ペアが披露しました。様々な要素を組み込み、自分たちの自由に表現するフリールーティンは非常に見応えがあります。デュエットとチームのテクニカルルーティンで銅メダルを獲得した乾選手・三井選手ペアは勢いに乗り、このデュエットフリールーティンでもウクライナを上回って93.5333の3位で決勝に進みます。
「疲れはありますが、自分自身でも決勝に向けてまだまだできることがあるので、良い演技ができるようにしたいと思います」(乾選手)
「中盤のスピンがいまいちでしたが、修正して決勝に臨んで、良い演技をして疲れを吹き飛ばしたい」(三井選手)

テクニカルルーティンを1本終えて、少し緊張がほぐれたのか、ミックスデュエットのフリールーティンに出場した安部篤史選手・足立夢実選手ペアは伸びのびと演じます。何度もトレーニングしてきたドラキュラをテーマに、オーメンと月光の旋律にあわせて舞い、84.9667を獲得。7位となって決勝に進出しました。
「もうあと2回しか泳げないんだという気持ちで、自分のカラーを出せるようにしようと考えて泳ぎました。僕は次につなげることが役割のひとつ。そのためにも全力を出して最後まで頑張ります」(安部選手)
「良い演技ができたと思います。完遂度をあげるなど、もちろんまだやることはありますが、決勝ではさらに上に挑戦していき、今まで積み重ねてきたものを気持ち良く出せるようにします」(足立選手)

チームフリールーティンは21カ国が出場。Black Magicをテーマにした摩訶不思議な世界を演じます。メダルを獲得したことが選手たちの自信につながっているのか、細かい足技でもきれいな同調性を見せます。後半、横向きで回転するリフトが練習通りにできなかったことから少し演技が乱れますが、最後まで観客を魅了する泳ぎで93.7000を獲得。全体3位で決勝に進みます。
「3ラップ目のリフトが中途半端になってしまって、そこから後半がダメでしたね。前半は良かったんですが。フリールーティンは脚の鋭さ、同調性、演技を最後までやりきるところといった、日本の良さを出していくためにも、もっと最後まで泳ぎ切らないといけません。選手たちは自分で考えて、修正して決勝に臨んでくれると思います」(井村雅代ヘッドコーチ)

昨日に男子が行われたOWS10km。今日は貴田裕美選手が出場する女子10kmがカザンカ川を舞台に行われました。
スタートしてから1km過ぎあたりで、菱形のような形の集団を形成してレースが展開します。しばらくは膠着状態が続き、3周目の7.5km手前から少しずつ動きが見え始めます。貴田選手は1周目から集団のなかに入り込み、36位スタート。そこから集団の動きに合わせながら2周目で28位、3周目で22位という位置につけます。
しかし、ここで大きな問題が生じていました。「1周目から集団の真ん中に入ってしまって、横にも前にも出ることができなかったようです。そこで大きなストレスを受けて、体力を消耗してしまいました」。そう話すのは青木和子コーチ。貴田選手本人もそれは分かっていましたが、囲まれてしまって厳しいレース展開をせざるを得ない状況となります。
一気にレースが動いたラスト1周、トップの3選手が飛び出して、それに続く上位の選手もペースを上げます。そこについて行きたかったところですが、3周目までに集団に囲まれて体力を消耗してしまったために少しずつ後退。結果、トップから1分57秒差の28位でフィニッシュしました。
「3周目に意識的に前に出たんですが、最後は前を行く集団についていく体力が残っていませんでした。序盤はムリをしない展開を考えていましたが、ブイの回りで良いポジションがとれずに差がついてしまった。これからもっと試合経験を積んでいきたいので、海外の大会にも出場しながら、6月の最終予選を目指します」(貴田選手)

飛込競技では、男子3mシンクロ予選に寺内健選手・坂井丞選手ペアが出場。小さな入水の乱れはありましたが、全体をうまくまとめて9位で決勝に進出。
そして迎えた決勝では、1本目の103Bの入水が決まって5位でスタートしましたが、2本目の5331Bを終えて10位で制限選択飛を終えます。自由選択飛に入って4本目の205Bは予選よりも得点を上げて73.80を獲得。しかし、5本目の305Bを予選より約5ポイント下げてしまう演技で順位を11位に下げてしまいます。
ラスト6本目の107Bでは、踏み切りのスタートからタイミングがズレてしまい、トータル389.94の11位。予選よりポイントを落としてしまう結果となりました。
「2人の細かいミスもあり、自分自身のミスもあり、合わせきることができませんでした。五輪に向けて、このシンクロ競技についても構成や難易率も含めてしっかり考えていきたいですね」(寺内選手)
「助走が攻めきれなかったり、調整しきれなかった部分もありましたが、試合自体は楽しむことができました。個人種目に向けても良い試合慣れができたと思います」(坂井選手)

何とか世界水泳選手権での勝利をものにしたい、女子水球の予選リーグは第2戦でブラジルとの対戦。第1クオーター開始から2分でブラジルに2点先制されますが、取り組んでいたマンツーマンディフェンスからの素早いカウンターアタックで中野由美選手がゴールを奪います。ブラジルに2点を追加されながらも、第1クオーター終了直前に高橋綾佳選手がゴールを決めて2対4。第2クオーターはブラジルに押され、曲山紫乃選手が1点を奪うものの思うようなプレーができず2点を追加され、前半を3対6で折り返します。
後半に入ると、膠着状態が長かった前半に比べて点を奪い合う展開となり、第3クオーターに日本は3点、ブラジルは4点を追加。最終第4クオーターは曲山選手やキャプテンの森翼選手のスティールでブラジルの攻撃を止める好プレーも飛び出しますが、風間祐李選手が8点目を入れて試合終了。日本は8対11で2敗目を喫しました。
予選リーグの最終アメリカ戦は、7月30日に行われる予定です。

6日目に行われるのは、乾選手が出場するシンクロのソロフリールーティン決勝、飛込は板橋美波選手と佐々木那奈選手が出場する女子高飛込の予選と準決勝、水球は男子のセルビア戦がそれぞれ行われます。

来年のリオデジャネイロ五輪を見据え、各国の強豪が出そろう水の祭典・世界水泳選手権で、連日レベルの高い勝負をし続ける代表選手たちへの熱い声援を引き続きよろしくお願いいたします!

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