2016.09.25

【OWS】第92回日本選手権水泳競技大会 OWS競技

9月25日、今まで千葉県・館山を会場としていたOWS(オープンウォータースイミング)の日本選手権が、場所を東京・お台場海浜公園に移して開催されました。

1周1,255mの周回コースを8周回で行われ、男子66人、女子35人がエントリー。今大会は2017年のハンガリー・ブダペストで行われる第17回世界水泳選手権、第29回ユニバーシアード競技大会(台湾)、そしてOWS全豪選手権の代表選考を兼ねて開催されました。

10:00に男子がスタート、その2分後に女子がスタートしました。注目は、もちろんリオデジャネイロ五輪代表の平井康翔選手(朝日ネット)と貴田裕美選手(KONAMI)です。

男子で第1ラップの先頭を奪ったのは、藤掛遼太郎選手(明治大学)。その藤掛選手から遅れること10秒の14位に、ロシア・カザン世界水泳選手権代表の宮本陽輔選手(自衛隊)が、17秒遅れの26位で平井選手が続きます。

第2ラップを通過すると平井選手は5位まで浮上。そして、第3ラップには一気にトップに立ちました。普段は集団のなかでじっと辛抱し、体力を温存するレースパターンが多かった平井選手でしたが、この日は第3ラップでトップに立つと、そのまま他を引き離しにかかります。最終第8ラップに入ったところでは、後ろをゆっくりと確認しながらレースを展開。それでもスピードを最後まで緩めることなく泳ぎ切り、2位以下に40秒もの大差をつけて優勝を飾りました。
2位には、最初から最後までずっと先頭集団で我慢のレースを続けてきた、野中大暉選手(日本体育大学)が入り、宮本選手は3位となりました。

「東京五輪に向けて、良いスタートが切れたと思います。どこで勝負を仕掛けるかは、いつもレース中に周囲を見て自分の感覚で判断するんですが、今回はたまたまその仕掛けどころの判断が速かっただけです。何年も前からこの種目に懸けてきた想いがある。それに、所属チームの方々が応援に来てくださっていたので、差をつけて優勝したかったのでうれしかったです」(平井選手)

女子は、貴田選手、森山幸美選手(日本体育大学)、新倉みなみ選手(セントラル目黒)、岩永美里選手(ATSC.YW)の4人が中心となって、先頭集団を構成してレースが展開されました。試合が動いたのは、第4ラップ。森山選手と貴田選手の2人がスピードを上げて、新倉選手と岩永選手を徐々に引き離しにかかります。この2人は並泳を続け、第8ラップ終盤、フィニッシュゲート前になっても差はつきません。勝負はタッチまでもつれ込み、写真判定へ。
その結果、10分の1秒差で貴田選手を破り、森山選手が初優勝を果たしました。2位に貴田選手、そして3位には約30秒の差がつきましたが、新倉選手が入りました。

「ずっと貴田選手と競るきついレースでしたが、最後の直線でチームメイトたちの応援が聞こえて、諦めずに最後まで頑張り抜くことができました。一度貴田選手には勝っていますが、それがまぐれだと言われないようにしたくて、頑張ってきました。その貴田選手に勝てて、本当にうれしいです」(森山選手)

平井選手、宮本選手、そして貴田選手が日本代表としてずっと活躍を続け、五輪でも平井選手が8位入賞を果たしたことで、若手の実力を持つ選手たちがOWSに参戦するようになりました。そして、女子では新しい選手が登場。少しずつ、OWSにも新しい風が吹き始めています。

10km、2時間弱という長距離長時間を自然を相手に厳しい戦いを繰り広げる選手たちに、これからもご声援をよろしくお願いします。

※写真1:男子で大差をつけて優勝した平井選手
※写真2:タッチ差で貴田選手を制した森山選手
※写真3:10kmを戦い抜き、表彰台を獲得した選手たち